あたしは右手を左右にパタパタと振り、そう言った。
「行ってない…?」
『うん』
「なのに転校?」
『あー、兄貴がそうしたんじゃない?』
「へぇ…、お兄さんが、ねぇ?」
すげームカつく顔しやがるな、こいつ。
「兄貴って誰?」
『朱雀の先代』
「エ!?誰だよ!?」
今こいつらは8代目で…、兄貴は確か……。
『5代目…だったかな?』
亜稀羅に確認をとるようにして言った。
「そうだよ」
「マ…ジか…」
「すげぇ…」
「……。」
唯兎と龍希は驚きを露にしていて、向日葵は口には出さなかったものの驚いてはいるみたいだ。
「馨って、やっぱ何者だ?」
『ただの女子高生っつってんじゃん』
「その“ただの女子高生”の情報が1つも出てこないのはどうしてかな?」
あたしはその言葉に驚き、朔弥を見た。
…調べられてやがったか……。
『……個人情報を勝手に見るとはね』
「正確には見てないけどね?」
『………へぇ?』
まあ、いくら朔弥が頑張ったところであたしの情報が出てくるハズもない。
あたしの情報は、流樹とあたしで漏れないようにしている。
それに、幹部はみんな世界的なハッカー揃いだ。
朔弥もその1人なんだろうけど、あたしたちに敵うハズもない。
あたしたちの右に出る人間は、いない。

