赤い狼と黒い兎



後ろから目隠しされ、瑠衣の声が真後ろから聞こえる。



「目を開けたら、一番最初に見える人。その人が、馨の大切な人」

『…わかるの?』

「わかるよ。馨のことなら何でも知ってる」



……ストーカー紛いなこと言うなよ…怖いな…。



「その人も馨のこと大切だと思ってるよ」

『……』

「さぁ、もう起きる時間だよ」

『瑠衣…』



手を退けて振り向くと、穏やかに笑っていた。



『…っ瑠衣、ありがとう。ずっと、大好きだよ…』

「それは俺じゃなくて、な?」



にこりと笑った瑠衣に、あたしも微笑み返した。