赤い狼と黒い兎



すると手術中というランプがパチッと消えた。

中から医者が出てくる。



「先生!馨と亜稀羅は…」

「亜稀羅くんの方は問題ないようです。傷も浅いようですし、後は目覚めるのを待つばかりです」

「馨は…?」



医者は少し言いにくそうに言った。



「傷も深く、出血が多かったですが命に別状はありません。ただ…」

「ただ?」

「……いつ、目覚めるかわかりません」



頭の中が、真っ白になった。

助かったのに…目が覚めるのがいつかわからないって、なんだよ…。



「こちらも最善は尽くしましたが、こればっかりは本人の意思です」

「そうですか…」