赤い狼と黒い兎



今にも殴り掛かりそうな唯兎と亜稀羅を手で制した。



『…そう。じゃあ、あたしはこの手で、今、復讐を果たすね…』



復讐なんて、ないけどね。

瑠衣を味わった苦痛、同じように味会わせてやるから…。



「あ?復讐〜?」

『だから…それで死んだとしても、恨むなよ?』



ニヤリと笑うと横から亜稀羅が走り出した。

それから唯兎を中心に嶽に向かって行く。

…ごめんね、巻き込んで。



『…だいぶイラついてるな』



もうヤバい…。

あたしが走り出したのと、嶽が亜稀羅にナイフを振り上げるのは同時だった。

うそ…やだ、亜稀羅まで…!!