赤い狼と黒い兎



「馨!」



バタバタと走り寄って来る春架たち、と唯兎たち。



「大丈夫っ?」

『…まぁ、たぶん?』



血を拭えば、春架がぎゅっと手を握ってきた。



『…春架?』

「……っかた」

『え?』

「良かった…っ、無事で…っ」



…だから、心配し過ぎだっつーのに。

ポロポロと涙を流す春架に、あたしは頭を撫でた。



『大丈夫大丈夫。死んでも生き返って来るから』

「バカ!!」



ふっと不敵な笑みを見せ、嶽のところへ行った。



『…おい。てめぇ、いつまでそうしてる気だ?ぶっ殺すぞ』

「……」