赤い狼と黒い兎



クククッと愉快そうに笑い、あたしの肩に手を置いた。



「いい“仲間”を持ったなァ、馨?」

『……』



やたら仲間を強調して、ニヤニヤと笑う。

あの大広間に近付いて来たのか、いろいろな声が聞こえた。



「おっ、やってるな。お前はここで待て。俺が呼んだら連れて来い」

「はい」



背後に居る男がそう答えると、嶽は広間に向かって歩き出す。

…何であたし捕まっちゃったんだろうなぁ。

まぁ不注意ってやつなんだけど。



「止まれ」



嶽がそう言っただけなのに、シンとなる倉庫。