赤い狼と黒い兎



「うそうそ!俺が言った!言いました!!」



胸ぐらを掴んでナイフをちらつかせれば、青ざめてそう言った。



『だよな。』

「ハイ…。つーかどっから持ってきたよソレ…」



これ?と言ってナイフを左右に振った。



「わ、お前がナイフ持つとなんかアブねぇから寄越せ!」

『あっ』



横からバッと青夜に奪われて加奈子にナイフが渡った。



「まったく。“あっ”じゃねーよ、危なっかしい」

『失礼な』

「お前はナイフ持つな!いいな?」

『いや持たねーし』

「凶器が更に凶器になっちまう」

『絞め殺してやろーか?あ?』



ネクタイを掴んで引っ張れば、さっきより顔が真っ青になる。



「馨。それ以上は青夜さんが…な?」

『……。』



唯兎に止められて仕方なくネクタイを離した。

加奈子はお腹を抱えて笑ってる。

下品に。