赤い狼と黒い兎



「もし、チームの誰かが馨を庇って死んだら…?」

『………。』



もしも話じゃなくてリアルにありましたよ、それ。

あたしはふっと笑ってポケットに手を突っ込んだ。



『庇わせない』

「……」

『もう誰も傷付けやしないよ。アイツらは黙ってあたしのバックを守ってりゃいーさ』



ちょうどよくついた理事長室。

ドアを開けようとしたら、先にドアが開かれた。



「おっかえり〜。あら、唯兎も居たの?」



「どうぞ〜」なんて言ってドアを開ける加奈子。

ちょっと怖い。



「きったねー野郎だな。汚れっからどっかその辺置いとけ」

「ほーい」

『てめぇが連れて来いっつったんだろ』



溜め息と一緒に言えば青夜は「そーだっけ?」と笑った。