赤い狼と黒い兎



「まぁ、それもそーか」



目尻を下げて笑い、長い廊下の先を見つめた。



「…馨に怖いモンねぇの?」

『怖い?』



怖い、か…。



『……死ぬこと』

「え…?」

『…自分の前で、大切な人が、死ぬこと……』



瑠衣は、あたしを庇って死んでしまった。

もう二度と、あんなことが起こらないようにするためにあたしと瑠宇はチームを抜けた。

その時一緒に誓ったんだ。

『何があってもチームを守る』…と。

OBだろうがなんだろうが、moonと朱雀だけは守ると決めた。

…それを今、果たせているか不思議だが。



「……」

『……』



そして何故沈黙。

死ぬこと、なんて重かったか…。



「…じゃあもし、」

『ん?』



急にもしも話か。

…よくわからない男だなほんと。