赤い狼と黒い兎



「待った!」



そう声が掛けられて振り向けば、唯兎がこっちに走って来た。



『何?』

「そいつだけどーすんの?」

『青夜が1人残せって言ったから』

「へぇ…。手伝うよ」

『…どーも』



…あ、愛想悪いな。

まいーか。今に始まったことじゃねーし。



「……いな」

『え?』



やば、話聞いてなかった…。

唯兎の方を見れば、なんとも言えない表情をしていた。



「強いなって」

『誰が?』

「お前がだよ」



あたしを見て苦笑いを溢す唯兎に首を傾げた。



『どうして?』

「普通捕まったら冷静に対処出来ねぇだろ」

『そうかな?それ、普通の女だからでしょ?』

「……あ〜」



肩に担いでいる男を担ぎ直し、そう呟いた。