赤い狼と黒い兎



肘で男の鳩尾を殴り、よろめいたところにナイフを奪って顔面を蹴った。



「ぐはっ!!」



そのままズササーっと地面に顔面を強打。

あ…ちょっとやり過ぎたか……。



『(…敵に情けはいらねぇか)』



ふいに上を見上げれば、青夜が満足そうに笑って親指を立てていた。

…しかもその隣には加奈子がいる。

やっぱ見物してやがったかアイツら……。

何が仕事だっつうの。



『…まぁいいか。おい、そいつら片せ』

「その辺捨ててくりゃいーか?」

『あ?サツの前に捨てて来い』

「うえーい、マジか〜」



メンバーはダルそうに動き、下の奴らはせっせと動いていた。

あたしは地面に突っ伏して気絶している男の手首を掴んでズルズルと引き摺った。

…重ッ!って当たり前か。たく、青夜も面倒なこと言いやがるな…。