赤い狼と黒い兎



「はい、そこまで〜」



ゆるりと嶽の腕が離れ、あたしは地面に膝をついた。

し…死ぬかと思った…



「あららー、ちゃんと手加減してくれないとー嶽ちゃん」

「誰が嶽ちゃんだ」



頭をぽふぽふとやられ、顔を上げた。



「馨…大丈夫…?」



亜稀羅だ。

目を潤ませてあたしを見てる。



『うん、大丈夫だよ。ありがとあき』

「ほんと?よかったぁ」



そう言うとにっこりと笑って微笑んだ。

か、かわい…っ!

ぎゅっと亜稀羅に抱き付いて頬づりをした。

あたしの天使…



「…馨ってこんなに亜稀羅溺愛してたか?」

「前にも増したよ」

「兄貴がこんなんだから似ちまったか…」