赤い狼と黒い兎



「瑠宇や亜稀羅はどしたよ?最近パッタリ見ないじゃないの」

「さぁ?遊んでんだろ」

「亜稀羅もか?」



2人のワールドに入って行けないあたしは1人、暇をしていた。

帰りたい気もするけど…、なんかなぁ…。

嶽と居るの楽しいしなぁ……。



「馨」

『あ?』

「久しぶりに俺が相手してやろうか」




相手。それは、どっちが先に倉庫まで着けるかという単純な競争だ。



『…オジサンに負ける気はしないなぁ』

「あっ、言ったなおめぇ?ぜってー負かしてやっから」

『どうかなぁ』

「現役ナメんな?」



ニヤリと口角を上げて笑う嶽に、あたしも挑発的に笑った。



「じゃ行くぞ?…よーーい……ドンッ!!」



2人同時にスタート。