赤い狼と黒い兎



「バカだなーお前」

「うっせぇ!ちょ、取んに行って来る!」



そう言ってわたわたと音楽室を出て行こうとする唯兎をあたしは引き止めた。



「何?」

『あたしも行く』



麻友美からタバコとライターを受け取り、バイクの鍵を持った。



「え!?」

「馨待った!その格好はダメ!」



琉樹にそう言われて確かにと思った。

…あのバイクにあたしが乗ってたら、かなり不自然だな。



「はい、予備の黒服」

「はい、ズボン」



……用意周到だな、つか何でそんな笑顔なんだ。



『…ドーモ』

「蛇行運転しないように」

「くれぐれも、目立たないように。まだ昼だから!」

『あーハイハイ。お前らは保護者か』



適当にあしらい、スカートの下からズボンを履いた。

上は…このままでいいか。

そのまま上にパーカーを羽織り、フードを被った。



「…わぁお」

「一瞬で黒狼に早変わりだね」

『…行くぞ』