赤い狼と黒い兎



もう勝ち気でいる琉樹に「どうかな」と言った。



「え?」

『あの嶽だぞ?お前だってよく知ってんだろ』

「……」

『瑠宇が居たって敵わない奴だ。…その怖さ、身に染みてるだろ琉樹』

「……ムリ」



昔の嶽を思い出したのか、一気に青ざめる。



「…その嶽、って奴。そんなに強いの?」

『強いわけじゃない。力の差で言ったら瑠宇のが断然強い』

「じゃあ何が……」

『あれは強いのレベルじゃない。』

「ヤバいんだよ、アイツ……」



少し手を震わせながらそう言った琉樹。

……あの一瞬だけでも、相当なトラウマか…。