赤い狼と黒い兎



「何溜め息ついてんの」

『んぁ?』



琉樹を見れば、怪訝そうな顔であたしを見詰めていた。



「疲れてるんだよ」

「え!」



パソコンを見たまま口元に笑みを浮かべてそう言う朔弥の言葉を、鵜呑みにする琉樹。



『…いつ疲れたなんて言ったよ』

「溜め息。」

『溜め息で察するな』

「実際は?」

『若干疲れた。』

「ほら」



本音をこぼせば、クスクスと笑う。

……あ〜あ、調子狂うなったく。



「大丈夫?馨。ムリしないでよ?」

『心配し過ぎ』

「馨が倒れたら元も子もないから言ってんの!」



ビシィと指を指され、真剣な顔で言われた。



「いっつも無茶苦茶なんだから!」

『…そっすか』

「何その反応!事実だからな!!」

『そっすか』



ギャーギャーと騒ぐ琉樹を尻目に、朔弥は苦笑いをしていた。



「だいたいねぇ…!」

『ハイハイ、わかったから』

「適当!」

『とりあえず、報告はしとく』

「何か見つけたの?」



さっきのふざけた表情から一変、真剣な顔になる。



『嶽の居場所がわかった』

「!、それがわかればこっちのモンでしょ」