その後、中庭で集合写真を撮ることになった。



総勢150名程の参列者に囲まれ、私と仁は並んでカメラの前に立つ。



「えーあっそこの黒い服の方、もう少しこっちに…」


「あっそこのお子様を抱いておられる方は…」



カメラマンが必死に参列者達の立ち位置を微調整をしている。



「なぁ…。」



「ん?」



急に隣の仁が小さな声で話し掛けて来た。



驚いて顔を向ける。



仁は真っ直ぐ正面を見ている。



「えっ何?」



“フフッ”



薄ら笑いを浮かべたまま何も言わない仁。



「何よ?!」



「あっ新婦様、真っ直ぐお願いしまーす!」



ハッ…!



カメラマンにそう言われ、慌てて視線を前に戻す。



はっ恥ずかしいっ!!



言われちゃったじゃないよ~!!



もうっ。



「フッ…」



仁はまた隣で鼻で息を抜くように笑った。



ほんっとムカつく~!!



意味わかんないし!!



「それでは撮りまぁす。」



気取り直して、最高の笑顔を作った次の瞬間――




『世界一幸せにしてやる。』



えっ?



確かにそう呟いた仁に思わず目を奪われた。



《カシャッ!!》



シャッターがおりた瞬間、横を振り向いた私に、



仁はキスをした。



集合写真の真ん中で新郎新婦がキスをしているなんて…



有り得ないけど、



そんな有り得ない事をやってしまう仁の強引さ。



たぶん、それが私が仁を好きになった一番の理由だろう。



これからも、ワクワクドキドキしていたいよ。



大好きな


大好きな仁のとなりで…。


あの瞬間に言った言葉



《世界一幸せにしてやる》


もう、充分幸せだよ。



世界一―…



いや、宇宙一かもしれないな。