――日曜日



滅多にしない巻き髪に、耳に光る新しいピアス。



ピンクのスカートに白いコートとブーツ。



今日の私は名付けて《お姫様スタイル》



今日は……



今日だけは、何事もなく穏やかに過ごしたい。



“ガチャッ”



ゆっくり玄関を開けると、入念に辺りを見渡す。



よし!



あいつがいない事を確認してマンションを出た。



いつまでこんな生活が続くんだろう。



待ち合わせ場所に着くと、先に来ていた弘人が私に気づきにっこり微笑んだ。



「かわいいじゃん。」



その第一声に、私の浮かれ気分は最高潮に達した。



「どこ行く?」



弘人と腕を組んで歩き出す。



ヒールの高い私を気遣い、ゆっくり歩いてくれる。



そんな弘人の優しい心遣いに、幸せすぎて死んじゃいそうになる。



しばらくショッピングを楽しんだ後、予約したホテルのレストランへ向かう事になった。



着いてみると、雑誌に載るだけあってムードのある大人の雰囲気が漂うレストラン。



運ばれてくる料理も、食べた事のないような豪華なものばかりだった。



「高いんじゃない?」



思わず小声でそう尋ねる。



「平気平気!この日の為に貯めておいたから。」



そうニッコリ笑う弘人。



あ~、一生この時間が続けばいいのに……。



まさに、夢見心地でディナーを楽しんだ。