「ごめんな」


楓がつぶやく。


「ごめん……早紀」


「いいの……」


私は何度も首をふって、いいの、と繰り返した。


「楓のせいじゃない……」

「………」

「あのチョコレートが、あんまりにも甘かったから……。だから、それがいけなかったの……」



楓は哀しそうに眉を寄せて

それから私の手首に、そっとキスをした。



鍵の外れる音が、聞こえた気がした。