―――全てを終えたあと、電気をつけてみたら、そこはただの安ホテルの一室に過ぎなくて。私は、夢が醒めた事を知った。
サービスタイムの案内表とか、大人のオモチャの広告が壁に貼られていて、いかにもラブホだね、なんて楓は少しだけ笑った。
それから私たちは並んで寝そべり、一言も口をきかなかった。ふたりとも裸のまま、ベッドに体を投げ出していた。
しばらくすると、耳のあたりが冷たいことに気がついて、私はそこに触れてみた。指先にしっとりと濡れた感触を感じ、またひとつ、雫が伝った。
壊れたな。涙腺。
いつの間にか私はしゃくり上げていて、部屋の中に、私のみっともない泣き声が響いた。



