Sugarless -君だけがいた時間-


しだいにふたりの呼吸は重なり合い、自分という存在が侵食されてゆくのを感じた。

部屋には窓がなく、湿気が充満している。

彼は私の耳たぶに噛みつくようなキスをして、微かな痛みで私が顔を歪めると、満足そうにささやいた。


「やっぱり……お前だったんだ」

「え?」

「あの夢でみたのは、お前だった」


楓は目を細め、私を慈しむように見つめた。