「やめて……そんなこと言わないで!」
「……早紀?」
肩を掴もうとする楓の手を振り払い、私は首を振った。
「ウェディングドレスなんか大嫌い。純白のドレスなんか着たくないよ。なのにどうして、楓はそんなこと言うのよ。どうして私の花嫁姿を撮ってやるなんて言うのよ……っ」
顔を覆った両手が、しだいに濡れていくのを感じる。鼻の奥がツンとして、喉が震えて、体中に力が入った。
早紀、と呼ばれて顔を上げると、楓の瞳がすぐそこにあって、それは逸らされることなく、私を捕らえた。
囚われてきたんだ、ずっと。
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