「あいつは今、アメリカ」
「え? なんで?」
「語学を学びたいんだってさ。急に思い立ったらしくて、まるで隣町にでも行く感じで、飛んでったよ」
「そうなんだ」
昨日スマホに送ってきたばかりだという朝子の写真を、楓が見せてくれた。
映画に出てくるようなアメリカの田舎町。まっすぐな一本道が通っていて、スクールバスが止まっている。
青い目の男の子。
褐色の肌にピアスを飾った女の子。
アジア系の子供たち。
様々な人種の中で、朝子は笑ってる。
口紅なんか塗ったことない素のままの唇を、大きく開けて、笑って。
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