「好き」なんて気持ちはとても不可解で、正直私にはよく分からない。
だけど、「彼じゃなきゃダメ」というのなら、ものすごく理解できる。
楓じゃなきゃダメ。
楓じゃなきゃ、ダメなの。
あなたを愛したいのです。
私は自分を愛する代わりに、あなたを愛したいのです。
あなたの声さえ聴けるのなら、私は言葉を失ってもかまわない。
あなたの視線さえ感じられるなら、私はもう何も見なくていい。
欲しいのは、あなた、ただそれだけ。
そんな叶わない夢を想い、私はあの頃もそして今も
たったひとりで牢獄に囚われ続けている――



