私はトモダチの彼氏を好きになるような女。

彼に愛されているトモダチを憎んじゃうような女。

ふたりの関係を見せつけられ、こんな時間にあてもなくタクシーを走らせるような痛い女。


私は、私を好きだという青年Aの運転する車に揺られながら、ふいに泣きたくなった。


窓の外を見る。でっかい月が出ている。

どこにいたって、あの人も同じ月を見ている……なんて幻想だ。


だってあの月を目印に走ってみたところで、彼のもとには、とうてい辿り着けない。