とりあえず眠いからホテル行ってよ、という私の言葉に、彼は驚いたように目を丸めた。


「え、いいの?」

「いいけど?」

「でも俺、ガマンする自信ないよ」


私は思わず吹きだしてしまう。数日前はあんな必死に誘ってきたくせに、何を今さら、しおらしいこと言ってやがるんだ。


「そっちが行きたかったんじゃないの?」

「いや、まあ、こないだは酔ってたし……。でも勢いで誘ったけど、俺、けっこう本気で早紀ちゃんのこと、好きなんだから」

「………」

「でなきゃこんな所まで迎えにこないよ」


変な男。こんな、変な女に引っかかっちゃうなんて。