『早紀ちゃん、今どこ?』 「わかんない。一万円札に聞いて」 『は?』 「気にしないで」 『はあ……』 そして男は、今から会えない?と早口で言った。私は少し考えてから、いいよと答えた。 「運転手さん、ここでいいです。降ろして」 ドライバーはホッとしたような顔をミラー越しに見せ、私を降ろした。