硬直した私の背中に、楓がエスコートするように手をあてる。 はっとして、唇の端をむりやり持ち上げた。 「……久しぶり、朝子」 「うん! 半年振りくらいだよね!」 朝子は私の分の椅子を引いて、さあさあ座って、なんて言いながら着席を促す。言われた通り、彼女と向かい合って腰を下ろした。 そして、楓の方をちらりを見上げる。 彼は私と目を合わすことなく、ごく自然に、朝子の隣りに座った。 「早紀、元気だった?」 高校生の頃と何も変わらない、少年みたいな瞳で朝子が私を見つめる。