私が彼の手によって牢獄に閉じこめられてしまったのは、まだあまりにも幼かった、高校生の頃だ。


牢獄なんてちょっと物騒な例えだけど、ある意味、本当にそうだったのかもしれない。


廃部寸前の写真部の部室はいつもしんとしていて、私と彼のほかに、息をしているものは何もなかった。


私は高校時代の大半を、この部室ですごした。

一番好きだったのは暗室だ。

漆黒のカーテンの内側。
光の届かない場所。


だけど、わざわざ暗室じゃなくても良かったのかも、と思う。

部屋はもともと日当たりが悪く、太陽はつねに遮られていた。


あの部室そのものが、世界の暗室だったのだ。