ご飯を食べるときは、なぜかどこかに一点に集まる。
別に誰が指示したわけじゃないけれど、今やそれが習慣となっている。

最初は無謀ながらもここから逃げ出す方法を考えたり、お互いを励ましあったり、どうでもいいことを話したりしていたのだが、今は何の会話もない。

ただ黙々と俯いてパンを食べている。
いや、正確にはパンを見つめているだけなのだが。
さっきも舞香と話したとおり、食欲がある人なんて一人もいない。

表情はとにかく暗い。
自分では分からないのだがきっとわたしも相当ひどい顔をしているのだろう。
泣いている人もいれば口をぽかんと開けて放心している人もいる。

教室ではあんなに騒がしかったのに。
昔――一週間前のことを考えるたびに、胸が痛む。

そんなとき、わたしの脳裏にさっきの考えが浮かんだ。
その考えは完璧だと思っていたわたしは、自然と言葉を漏らしていた。

「最初に死んだ方が楽だったかもしれないね。羨ましいなぁ」

皮肉らしい笑みをつけたして。

だけどそれは紛れもない本心。
皮肉な口調と薄ら笑いは、それを隠すカモフラージュ。

本気で羨ましかった。
残されていく悲しみも知らないで、この絶望を味わうこともなく、ただ勢いで死ねて。
わたしたちはいつ死ぬか分からないといった状況の下で生きている。
それがどんほどの苦痛かといったら……味わらないと分からないだろう。