「……ふわあ」

大きな欠伸をしながら、わたしは緑色に光る非常口の近くに歩み寄った。
隣では舞香が何度もわたしにぶつかってくる。
歩きながら寝ているのだろうか。器用なやつ。

「これで全員だよな。人数数えるから、ちょっとそこに一列に並べよ」

指示をしているのはもちろん桧野。
わたしは重い体を引き摺って、されるがままに動く。

「一、二、三……十六……十六人? 十六人まで減っちまったのかよ」

桧野は一人ひとり指で示しながら数え終わると同時に、その場にくたくたと座り込んでしまった。
わたしは桧野の漏らした言葉を聞き取り、驚きのため叫んでしまった。

「えっ、十六人? ちょっと待ってよ。最初は二十八人いたよね?」
「数えてみろよ。ホントーだから」

そんなわたしに、肩を竦めながら呟く桧野。
わたしはその意見に従って、一人ひとり名前を確認しながら数えてみる。