いつもより騒がしいのに気付き、わたしはゆっくりと目を開けた。
するとあたりは真っ暗で、非常口の緑色のランプだけが点灯されていた。
だけどおかしなことに、ごそごそ、がさごそ、と音がするのだ。

まさかわたしたちを殺しにきたんじゃ。

そんな考えが脳裏に浮かび、わたしはひいっと小さな悲鳴をあげた。
毛布を体に絡み付け、さらに自分の腕で抱き締め、自己防衛を極める。
そんなとき、後ろの方で間抜けな声が聞こえた。

「おっ、柳川起きたのか。ちょうどいい。こっち来いよ」

体の力が一気に抜けていくのを感じた。
後ろを振り向いても人がいるとしか分からないが、それは紛れもなく桧野の声だった。