「約束したじゃない。たくさん遊ぼうって、カラオケに行こうって、プリクラ撮ろうって。喋りまくって、思い出をたくさん作ろうって。ついさっき、約束したじゃない。だから守ってよね」

この状況の理不尽さに改めて苛々して、わたしはそう捲くし立てた。

もちろんミヅキは動かない。指先をぴくりとさえも動かない。
それを分かっての行動だった。
もう約束なんて果たせるわけないのに、わたしは守れ守れと言い続けた。

負け惜しみをしているようだった。
とにかくそのときは怒りと悔しさと悲しさといった負の感情にわたしのすべてを任せた。

そんなとき、わたしはミヅキの口が不自然にもつりあがっていることに気付いた。
それは見ようによっては笑っているように見えた。

「……死を迎えられて、ミヅキは幸せだった?」

そんなミヅキの顔を見て、わたしは無意識に声を漏らした。
わたしの言葉にまるで肯定するかのように見えるミヅキの微笑んだ顔。
わたしは何かで胸を刺されたような感覚に陥った。

わたしの幸せと対になるミヅキの幸せ。
わたしはどうすればいいだろう。
死ねてよかったねと微笑んであげた方がいいのだろうか。

わたしは言葉を噛み殺して去っていく彼女の姿を見つめた。