ミヅキはそんなわたしの動揺に気付かないのか、笑顔のまま続ける。

「死ぬ前に更沙と友達になれてよかったよ」

降り掛かった言葉に、わたしは違和感を覚えた。
わたしは急に真面目な顔になってミヅキに問いただす。

「死ぬ前? どういうこと?」
「あたしたち実験台だってこと忘れてた? もってあと四日の命なんだよ、あたしたち」

ミヅキはさも当然かのような態度でそう言った。
その言葉でわたしは現実に引き戻される。

悲惨な現実。目を逸らしたくなるほどの無慈悲な光景。
耳に届くのは悲痛な叫び声。

突きつけられた現実、さっきまで逃避していた現実。
わたしは急に怖くなってきた。
かすかにだが体が震えだす。

「そんな状況に置かれているくせにこんな呑気に喋れたって、すごい幸せなことだよね」

ミヅキがまるで他人事のように言った。
嬉しそうな、悲しそうな、複雑な表情をしている。