わたしは仕方ないなという意味を込めて肩を竦めてみせた。

でもわたしがそんな目で見られていたなんて、嬉しい。
そんな理由を持って近付いてきてくれるなんて。

わたしは体が火照っているのを感じた。

「うん。でも、ありがと」

するとミヅキが顔をあげてこちらを見据えながら、そう言った。
わたしはいきなりのことに面食らって、だけどお礼を言われたことに対して照れ臭くて身をちぢ込ませた。

「普段はこういうのくさくて言えないんだけど、もうすぐ終わりだしね」

ミヅキは満面の笑みでそう言うと、手に力を預けてゆっくりと立ち上がった。
そのときにちらりと一瞬だけ見えたミヅキの手首。
何かの引っかき傷のようなものが幾つもあって、わたしは不自然にも目をそらしてしまった。

リストカットのあと?
まさか、そんなことない。
ただの見間違いだろう。

勝手にそうやって自分に言い聞かせた。
突然のできごとに体がついていかないのか、動悸が激しい。