わたしは三年四組の一員となっても、強がりを消すことはできなかった。
恥ずかしさのためか、どうしても尖った言い方をしてしまうのだ。
そのうえこのクラスは問題児ばかり集められているので、普通の人よりも気配りが少ない。

みんなの輪の中に入っていきたい。みんなと話したい。みんなと仲良くなりたい。
それが本音だった。

恥ずかしいから誰にも言ったことがなかったけれど、わたしは一日でクラスメート全員の名前を覚えた。
いつでも誰とでも打ち解ける準備は万端だ。

だけどわたしの勇気がないばかりに、「みんなと仲良くなる」という望みは叶うことなく一週間ほど過ぎた。

誰かと必要最低限のことを話そうとしても口篭ってしまって気味悪がられる。
誰かと少し触れただけで過去を思い出して震え上がってしまう。。
誰かの目を見つめていると、この人はこんな笑いを浮かべながらもひどいことを考えているんじゃないかと被害妄想が広がって、怖くなってしまう。

こんなわたしが普通の学校生活を送るなんて、無理なことだったんだ。

そう思い、もうこのクラスに馴染むのを諦めかけていたとき、クラスメートの中の一人がわたしに話しかけてくれた。

長い髪は高い位置で二つに括ってあって、そこから少し幼さを感じさせた。
それに追い討ちをかけるかのような少し舌足らずな喋り方。

愛らしい。
まずその顔を見てそう思った。

「一緒に話そうよ」

わたしがこのクラスに来てから、彼女はいつでも笑っていた。
そのときも彼女はわたしにはできないような愛らしい笑みを浮かべていた。