泣き崩れたわたしに、舞香は困ったようにわたしの名前を呼び続けていた。
そのときに背中に触れられた手が温かくて、非常に安心した。

しばらくするとわたしの涙もおさまってくる。
わたしはハンカチを持っていないので、仕方なく制服の袖で涙を拭った。

そういえば昨日はお風呂に入っていない。
制服も洗っていないし、なんだか不潔で嫌だな。

気分も段々と落ち着いてきて、わたしはそんなことを考えていた。
もしかしたら無意識に現実逃避をしていたのかもしれない。

そんなとき、わたしの平和な思考をとめるように体育館の戸が開く音がした。

昨日とは違って白衣を身にまとった杉村が軽快な音を立てて入ってくる。
その顔は昨日と何も変わらず、わたしを再び憂鬱な気分にさせる。

「おはようございます。三年四組の皆さん」

ああ、地獄の二日目の始まりだ。