「なによぅ」
「羨ましい。本気で、舞香のこと」

こんな状況でそんな前向きに考えられる舞香が。

「情けないけど、怖くて仕方ないの。わたし、不安で、不安で……」

目の奥が熱い。
それとは反対に冷たいものが頬を伝う。

「ねえ、どうして舞香はそんなに前向きでいられるの? わたし、不安に押し潰れてしまいそうだよ……」

さっきから見栄を張って強がっていたけれど、本当はもう壊れそうだったんだよ。

先生が死んで、わたしたちは監禁されている。
外のことなんて全く分からない。
時間さえも分からない状況に置かれているんだ。

怖くて、仕方がないの。
どうしようもないような恐怖が襲ってきて。

それさえも感じないあなたが、羨ましくて仕方ない。