頬にこびり付いた涙を袖で擦りながら、わたしは体を起こした。
かすかな腰の痛みを感じながら、わたしはその場で伸びをする。
その際に自分の腕に何かが纏わりついていることを感じ、わたしはその何かに視線を向けた。

「……はあ? 舞香?」

わたしの腕に絡み付いていたのは舞香の腕だった。
重いので取ろうとするが、しぶとく、中々取ることができない。
まるで赤ちゃんのようだと、わたしは心の中で思い、笑った。

そしてなぜいるのだろうと、わたしは必死で昨日の記憶を思い出していた。
すると舞香の隣には桧野がいることに気付いた。
ぎょっとして、何度も目を擦り、桧野の存在を確認する。

舞香はともなく、なぜ桧野までいるのだろう。
家に呼んだ覚えは微塵もない。
もしかして勝手にふらふらと入ってきたのだろうか。恐ろしい。


そこでやっと気付く。
ここが体育館で、わたしたちは実験台にされていることを。