わたしは荒れた。
自分も驚くほどの勢いで、人格が変わった。

失うものなんてない。
そう思って、周りにあるもの全てを壊した。

だけど壊したあとに気付く。
壊したものの大切さと、自分の情けなさと愚かさを。

あることが切欠で教室の窓ガラスを割ったとき、わたしはもう退学かと思った。
中学校に退学があるのかは知らなかったけれど、校長室に呼ばれたときは荒れたわたしでも緊張していた。

校長室では、意外なことに怒られなかった。
ただ校長先生が「三年四組に移りなさい」と言っただけだった。

三年四組。
それは校舎の一番端にある、通称「何もかもに見捨てられた教室」。
いわゆる「問題児クラス」で、問題を起こした者はそこにいれられていく。

そんな噂が立っている教室だった。
そんな奴らと一緒になるなんて不安だと思っていたが、校長先生が付け足した言葉に安心させられた。

「大丈夫だよ。三年四組は、君のような人がたくさんいる。本当は優しい心を持っているけれどなぜか空回りをしてしまう人やいじめや虐待を受けた人。本当の痛みを知った人が集まった場所だから」

そして気付いた。
校長先生はわたしの心の闇に気付いていたんだ。
それがなんだか無性に嬉しかった。