「そうですね。もう遅いので、今日はここまでにしましょう。ですがペースが乱れてしまったので、明日は予定より一人増やして、五人の方に実験台になってもらいます」

だらりと両腕を力なくぶらさげて、虚ろな瞳で杉村を見る。
少し歪んだ視線の中で、杉村はにやにやと笑いながらわたしたちに話しかける。
だけど杉村の言葉は、耳から耳へすり抜けていく。

「簡易ベッドなんて洒落たものはありませんが、毛布を用意しますから。そうですね、部下たちがすぐに持ってきてくれることでしょう」

杉村が言ったとおり、すぐに人数分の毛布が体育館に運ばれてきた。
わたしたちは最初、警戒はしていたものの、結局は寒くなって体を毛布に寄せていた。
毛布は妙に温かくて、冷えた体と冷め切った心を温めてくれるように感じた。
わたしはぎゅっと毛布で全身をくるんだ。

今は四月。
春だといっても体育館はすっかり冷えていて、スカート越しに伝わる床の冷たさが気持ち悪い。

わたしはぼうっとひりひりする目で周りを見ていた。
みんな一言も喋らずに、虚空を眺めている。
前に友達が麻薬をやったとき、友達もこんな感じだったな、とどうでもいいことを考えた。