一瞬にして場が凍りついたように静かになった。

今、この体育館で開くところは一つしかない。
わたしたちの視線は入り口に集中した。

「三年四組の皆さん、気分はいかがですか」

入り口から現れたのは、あの演台に立っていた男だった。
スーツ集団を引き連れているところからして、この男がリーダー格なのだと察した。

「そんな怖い目で見ないでくださいよ。わたしは杉村といいます。以後お見知りおきを」

愛想よく杉村と名乗った男が言った。
だけどわたしは気を許すことなんてできなく、軽く杉村を睨んでいた。

「世界からも認められる天才発明家と言っても過言ではありません。はは、そんな顔なさらず。冗談ですよ。ちょっと突飛すぎましたね。……さて、前置きはこれくらいにしましょうか」

ゆっくりとこちらに歩み寄ってくる杉村に、恐怖が湧いてくるのを感じた。
杉村はどこにでもいるような中年親父のなりをしていたが、威圧感は強烈なものだった。