家に戻る途中、ちょうと帰り道だったので、まあ少しはいいだろうと思い、中学へ行った。
休日なので学校は当然閉まっており、だがわたしは躊躇いもなく門を乗り越えた。

時刻は五時を過ぎたところで、段々と空が赤くなっていった。
白かった校舎も、今は赤に染まっている。

わたしは方向転換をして、体育館の目の前まで来た。
普段と同じ顔の体育館。
一日も経っていないはずなのに、なぜか懐かしく感じた。

偶然窓が開いていることに気付き、わたしはそこから体育館に侵入した。

ステージにステーキの入った袋を置くと、わたしは体育館を見渡した。

バラックがない。
時計がついている。
窓があいている。

あの地獄を思い出させるものなんて、なにも残っていなかった。