インターホンを押すと、きれいな女性が出てきた。
それがすぐに舞香の母親だと分かった。
以前写真で見せてもらったことがあるのだ。

若くて、まるで姉妹のように接しているの。
いつか家に遊びに来たら、更沙もお母さんと友達になれるよ。

写真を見せながら、自慢げに舞香が言ったのをよく覚えている。

舞香は自分の母親のことを話すとき、いつも楽しそうだった。
いい親子関係だな。
母のいないわたしは、いつも舞香のことを羨んでいた。

「あの、わたし、柳川更沙です。舞香さんのクラスメートの」

緊張しているせいか、わたしの喋り方は非常にたどたどしい。

舞香の名前が出た途端、おばさんの顔が険しくなった。
当たり前だろう。
死んだ娘の名前を出されたのだ。