「お疲れ様、更紗ちゃん。そんな疲れきった顔しちゃって……。もうお風呂沸かしてあるから、一番に入りなさいな」

叔母さんが促すようにわたしの背中をさすった。
だけどわたしは叔母さんから離れようとしないで、同じ言葉ばかり呟いていた。

「もう嫌だ……わたし、もう嫌だよ……おばさん……」

この幸せが、みんなはもう味わえないと思うと。
罪悪感やらよく分からない感情で押し潰されそうになるの。

「更沙ちゃん……? なにか、あったの?」

不思議そうな叔母さんの声に、わたしは思い切り顔をあげてしまった。

「何かあったって……叔母さん、何も聞いていないの?!」
「何もって……だから、国のために実験台となったんでしょう? そりゃあ疲れることかもしれないけど……名誉なことじゃない」

名誉なこと?

なにそれ。
あいつら、本当のこと伝えてないじゃない。

わたしたちがどんな状況にあったか。
どれだけ苦しんだか。

こんな仕打ちをうけたのに。
それらが理解されないなんて。