気付いたら、わたしは車の中にいた。
自分の置かれている状況がよく分からなく、周囲を見渡せば、そこがわたしの家の前だということが分かった。

がちゃりという音がして、車の中に杉村が入ってきた。

「ちゃんとお母さんに説明しておきましたからね。それでは、お疲れ様でした」

それは解放の言葉だった。

終わった。
全部、終わった。

わたしは家に、帰ってきた。

釈然としないまま車を出て、玄関先で待つ叔母さんのもとに駆け寄る。
叔母さんはわたしの顔を見ると、にっこりを笑い、両手を広げた。

「おかえり」

わたしはその胸に思い切り飛び込んだ。
柔らかい感触、伝わるぬくもり、懐かしい匂い。

叔母さんが、わたしの体を抱き締めた。