わたしよりも、生きたいと願っていた人がいた。
それなのに、なんでわたしが?

「……、ぁ……う、」

家に帰りたい。
元の世界に戻りたい。
平和な日常を味わってみたい。

わたしだってそう思った。
思っていた。

だけどみんなが一緒じゃなきゃ意味がない。
わたし一人じゃ駄目なの。

「嫌だよ……こんなの、嫌だ……」

これじゃ生きていても苦しいだけだよ。
あの地獄から脱け出せたけれど、胸の苦しみは変わらない。

顔を覆った手の平から、漏れていく涙。
顔が、手が、涙に濡れる。