誰もいなくなった体育館。
扉も開放されていて、窓も開け放たれていて。

「お疲れ様でした」
「あなたのおかげで世界が救われました」
「この薬は人体には有害ではないことが判明しましたので、改善してから政府に発表するつもりです」
「もちろん協力者となったあなたも称えられることになりますよ」

桧野も誰もいない。
先生も、舞香も、ミヅキも、誰も。

「ねえ……みんなは?」

隣にいる杉村に聞く。

「あなたは幸運の持ち主です」

杉村はわたしの方を見もせず、呟いた。

それが答えだ。
みんな死んだんだ。
わたしだけ助かったんだ。

それが、現実だ。