前に舞香にやったよう、わたしの両腕はスーツの男によって封じられた。

何するの、なんて抵抗する気力も無かった。
わたしはただ体を任せ、近付いていくバラックをぼんやりと眺めていた。

ふと、後ろを振り向いた。

そこには悲しそうな顔をした桧野がいた。

ばいばい、桧野。
こんなわたしによくしてくれてありがとう。

バラックの扉が開かれる。

「さあ、中に入ってください」

耳元で囁かれる。
ちゃんと歩けと言うことか。

わたしは薬の匂いのするバラックニ踏み込んだ。

ミヅキ、舞香。
今からそっちに行くからね。