震えているせいで歯が噛み合わず、がちがちという音が漏れた。
足だって震えてまともに機能していない。

ああ、情けない。

「柳川さん。あなたですよ」

追い討ちをかけるかのように杉村が言う。
体形には似合わぬ凛とした声で。

分かっている。
行かなきゃいけないのは分かっている。

だけど、動けない。

冷や汗が頬を伝う。
光が差し込んでくる体育館は温かかったのに、なぜかわたしは途轍もなく寒かった。